小粋な活動を外に開いて元気に展開されてい「NPO法人ひょうたんカフェ」さんは、地域のシンボルマークとなった太閤秀吉の旗印である「ひょうたん」を名称にし、「カフェ」のようにさまざまな人たちが集まりながら誰もが自分らしく過ごせる場所であって欲しい、という願いをこめて「ひょうたんカフェ」と名付けられたとのこと。
その言葉の通り、美味しくヘルシーなお豆腐やおからドーナツやフェアトレードコーヒーがいただけて、障がいのある方々の制作する手織り製品のお買い物ができ、その織っている様子も見せていただけ、時にはインスタライブで利用者さん自らが出演して商品紹介をするなど、ユニークで生き生きとした日々をスタッフの方々と利用者さんで創り出しています。
このエネルギッシュであったかい場所から生まれる品々はユーモアだけではないプロフェッショナルなお洒落な仕上がりであることにまた痺れるのです。私も「ひょうたんカフェ」さんのファンの一人で、こちらへ訪問し、交流し、お買い物するのが大好きです。
Guest
三島弘美さん(NPO法人ひょうたんカフェ理事)
おからドーナツ、手作り豆腐、手織り製品など、障がいを持った方々の就労支援と社会参加を支援する「特定非営利活動法人ひょうたんカフェ」は、名古屋市中村区を拠点として活動しているNPO法人です。「障がいをもつ方々を中心として、地域のさまざまな人たちが出会い交流する中で、お互いを認め合い、人とつながりあう喜びを感じられる社会づくりに寄与する」ことを目的として平成18年に設立。設立以来、上記の目的を実現するためにさまざまな活動を展開、現在は障害をもつ方々の日中活動及び就労の場としての「多機能型事業所デイセンターひょうたんカフェ」と障害者ヘルパー事業所「ヘルパーセンターらいぶ☆YOU」の2つの福祉サービス事業の運営を通じて地域の社会資源としての役割を担いつつ、「障害のある方々の力を社会に生かし、発信していく」という活動ミッションの遂行を目指して活動。
interviewーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 聞き手:原田さとみ 2021年 9月
原田) ひょうたんカフェさんの活動を教えてください。
三島) ひょうたんカフェは、[生活介護事業]と[就労継続支援B型]です。
織物は、生活介護事業、就労継続支援B型を利用されている方が手織りで一つ一つ丁寧に作っています。
原田) 「ひょうたんクラフト班」で手がけられている「残糸」を使ったアップサイクルな商品づくり・取り組みのお話をお聞かせください。このカラフルな糸は、どういった特徴がありますか。
三島) こちらは様々な糸を一緒に紡いであるものです。ひょうたんカフェでは沙織糸や一宮・尾州の糸を使っていますので同じものはないです。
原田)残って半端になった残糸や未利用素材を使うことも特徴ですね。色々な糸があり、まとまっていないバラバラなものもその個性を生かして利用し、これだけ立派なものを織り上げているのですよね。
三島)残糸でしたら、皆さんが織った最後が20~30センチくらい織り機に結び付けていますが、その端のところを切って、実際生地として扱われない残糸となる部分を捨てないで紡いで素材としています。その結果、柄や特徴は織ってから初めてわかりますね。
原田) 残り糸のプロジェクトには企業さんのボランティア活動にもつながっているのですよね。残糸を紡ぐのは誰が行うのですか。
三島) これはですね、企業のトヨタファイナンシャルさんでもご協力をいただいています。
原田) 紡いでいる方々は、どんな感想を持たれましたか。
三島) 紡いでいることで気持ちが落ち着いたり、集中している時間が落ち着くとおっしゃった方もいますし、実際に私も体験し、紡ぎだすと集中して「次はどの糸にしようか」とか「この糸きれいだな」とか「かわいいな」と、どんどんどんどん思いながら選んでいくのが楽しいです。
原田)紡ぎ手さんが癒されながら、愛情もって紡いでいることで素敵な味わいになっていますね。ボランティアさんが繋いだその糸を縦糸と横糸にして、こちらの皆さんが丁寧に織るわけですね。
三島) そうですね。織り手もどんな人に届くのかな、糸を紡いでくださる方もどんな方かなと考えながらやってくれていると思います。
原田) デパートでの販売や実演なども行っていらっしゃいますが、どのようなきっかけがあったのでしょうか。またその反響はいかがでしたか。
三島) デパートは、ジェイアール名古屋タカシマヤさんに何度か出店させていただいています。手作業で機織りしているところをアピールし、やはり商品だけではなく、実際に織っているところを見ていただくことで、その商品がどんなふうに作られて、どういうものかということを知っていただきたいと思い、こちらから提案させていただきました。そして、実際に織り機を持ち込んで実演することになりました。最初は遠目に見ていたお客様も、初めて織機を見られる方や織り方に興味を持たれ、実際に織っているところを近くで見に来られますね。
原田) いつもはアトリエの中で作業しているこちらの織り手さんのデパートで織った時の感想はいかがしたか。
三島) 実際にお客様にも会う事ができ、そこで手に取って実際に購入してもられるという経験は本当に嬉しい、楽しいと聞いています。
原田) ファッションショーを開催されたこともありますね。私も観に行きました、とても素敵でした!あの時は、織り手の皆さんが自分の着たい服をデザインして、大学生の皆さんと制作し披露されましたが、どんな思いで企画されましたか。
三島)ひょうたんカフェの中でも生活介護事業という少し障がいが重い方たちが利用されている事業の中で、皆さんが織り手として表に出るということは、なかなかありませんが、自分たちで織ったものを自分の身にまとって、それを見てほしいという思いと、その人その人が輝いて主人公になれるような場を作りたいと思いから始まりました。
原田) 煌びやかな大きなステージでたくさんの人に見てもらい、ショーに出た人の感想はどうでしたか。
三島) 「またやりたい!」と言っていました。それくらいすごく皆さんの中でも印象に残ったと思います。
原田) このようなコラボで学生さんもたくさんのことを学ばれたようですね。学生さんからはどういった感想をいただいていますか。
三島) 学生さんからは、本当に貴重な体験をさせていただいたというコメントをいただきました。企画の段階から参加してもらい、準備も内装も一緒に作り上げることができました。
私たちもそうですけど織り手の皆さんも、普段と違いとっても貴重な体験でした。
原田) ひょうたんカフェさんは、おいしいドーナツや可愛い織物商品の魅力をきっかけに、福祉に関わる人々を増やしていますね。デザインを学んでいる方や、服を作る方、衣食住に関わるコトや、フェアトレードの理念にもつながり、様々な分野とのコラボや連携を積極的に行っていらっしゃり、福祉の分野を広げてくれているなと感じています。その秘訣な何でしょうか。
三島) ひょうたんカフェのミッションの一つとして、皆さん障害のある方が社会の中で力を発揮していただくということを目指しながらやっているというところです。
原田)障害のある方々が社会と繋がる「線」を紡いで「面」になっていっているような感じがしますね。これから先も残糸や残布も使いながら活動されていくと思いますが、どんなアイディアがあるのか、教えてください。
三島) 今、商品としては着物の生地を割いて細いひも状にして、それをまた織って、着物の帯にしたり、着物以外にも布を一緒に織り込んだ織物の製作を考えています。
原田) こちらもまた手間のかかる作業となりそうですが、織り手さんたちが集中して、丁寧に紡いでいかれるのですね。
三島) 得意な方は集中してどんどん織っていきます。
逆に着物の生地を準備するのが追い付かないくらいかなと思いますね。
原田) わぁ~すごい~!可能性がいっぱい詰まった「ひょうたんカフェ」さんですね。
これからも期待しています。
「アップサイクル」インタビュー完成のお披露目イベントに
「ひょうたんカフェ」三島さんもトーク!
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エシカル&サスティナブル・ファッションショー/ トーク@オンライン
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2022年 1月 22日(土)
オンライン配信(ファッションショー/トーク/ 中継)13:00〜16:30
参加:YouTube配信 https://youtu.be/Sj2a3_u_N4M
1/22イベント詳細はこちら!
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interviewer
原田さとみ
(エシカル・ペネロープ株式会社 代表 / 一般社団法人 日本フェアトレード・フォーラム代表理事 / NPO法人フェアトレード名古屋ネットワーク(FTNN)理事 / 一般社団法人 日本エシカル推進協議会理事 / JICA中部オフィシャルサポーター)
”思いやり”のエシカル理念・フェアトレード普及推進イベント、フェアトレード&エシカル・ファッションショーの企画運営。 フェアトレード商品やエシカル消費・エシカルライフの推進事業を行う。2015年名古屋市をフェアトレードタウン認定都市とする。
movie
松井陽介(pen&wine Paw代表)
writer
梅澤ルミ子 (結日代表 / NPO法人フェアトレード名古屋ネットワーク(FTNN)理事)
エステティシャンとしての経験を積み、2018年『結日』起業。生産環境、製造環境、使い終わったあとまでを考えた石鹸等の日常生活に馴染みやすい化粧品・洗剤等の商品展開をスタート。主にアジアを中心に生産者に寄り添った現地の素材を活かし原料化し、美容界にもサスティナブルな商品の導入を目指している。
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