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「3×4=12(残糸12) / ほほほ」 後藤裕一さん


フェアトレードとエシカルのお店「ほほほ」を経営する株式会社 大醐が企画するオリジナルのアップサイクルブランド「poco up poco(ポコアップポコ)」。コンセプトをうまく表現しているチャーミングなブランド名ですが、その商品名もまたユニークです。今回はアップサイクル商品「3×4=12(ザンシジュウニ)」を中心に、大醐社長の後藤さんから、企業としてのその思いをお話いただきました。


取材班は、大醐の商品「3×4=12」が製造される工場を訪問。そこは名古屋市郊外にある靴下工場。1階では、所狭しと並ぶ編機がガチャンガチャンと休まず動き、糸車がクルリクルリ。その2階には、出番を待つ糸の在庫が積み上げられていました。ここは、糸の宝庫。でも、出番が訪れない糸もあり、未利用のまま長い年月、眠ってる糸も多い。靴下を製造する工場では、お客様からの注文に合わせて、素材や色合いの異なる複数の糸で編み上げていますが、各色が全て同じ分量で消費されることはないので、全てを使い切ることはできない。どうしても残ってしまう糸「残糸」が発生してしまいます。


後藤社長は、その残糸の存在を見つけて、もったいない、これで何か売れる商品が作れないかなと会社のスタッフとアイデアを出し合い、残り糸を活かした商品「3×4=12」が誕生しました。残り糸なので、どんな色・素材・量がどれくらい発生するかわからないので「3ヶ月おき、1年に4回、12日に発売する」とコンセプトを決めて(3×4ザンシ=残糸)にかけ「3×4=12」という商品名となりました。3ヶ月に1回、工場の忙しい時期を避けて作られます。毎回、どんな色の靴下が生まれてくるかは、その時に残っている糸により変化します。逆にそのサプライズを楽しむのも一興です。この方法で「3×4=12」の商品は、靴下だけでなく、また別の工場では、ネックウォーマーが作られ、また別の工場では、ニットネクタイを・・と、様々なアイテムが、様々な取引先工場の残糸から誕生しています。


大醐は、日本のものづくりを応援し、made in Japanを守ってきた歴史があり、工場での仕事を大事にされていて、常に工場に足を運んで、工場さんと一緒になって商品開発をされています。だからこそ工場との関係が近く、親身に思い、残したくない素材への思いが強く、なんとかしたいと、行動されています。


まさに、人にも環境にも地域にも、未来にも、温かく優しいエシカル事業、サスティナブルファッションです。エシカルファッションの要素がぎゅっと詰まっています!ウェイストレス(ゴミ削減)、クラフトマンシップ(伝統継承)、ローカルメイド(地産地消)、アップサイクル(再利用)、サステナブル(持続可能)、地域内フェアトレード!

後藤社長は「残った糸ではなく、残したくない糸」とおっしゃっいます。続きはインタビューで。           

Guest

後藤裕一さん (株式会社大醐代表取締役社長)

タキヒョー株式会社テキスタイル事業部にて、繊維製品、テキスタイルに関わる。家業の株式会社大醐に入社。もともとレディスのアパレルであった同社を、現在は、日本の糸、テキスタイルを独自で開発する開発、研究型のアパレルへと進化させている。その過程で、日本の工場のもつ独自の技と伝統を守るために「日本の物づくりを守る」を掲げたブランド開発を始め、ただかわいいもの、かっこいいものを作るのではなく、物の本質を見つめ、お客様だけでなく、関わるすべての人を豊かにしなければ意味がないと考える


interviewーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  聞き手:原田さとみ 2021年9月


原田)大醐さんは「かっこ悪いものをかっこ良くすることで日本の物づくりを未来へ伝える」メイド・イン・ジャパンを見直し「日本の伝統技術や産業を守ること」を大切に、服飾雑貨の製造・販売をされていらっしゃいます。まずは、大醐さんの歴史と大切にされていることを教えてください。


後藤)創業40年、私の父がニットのアパレルの会社を創業、私で2代目です。創業当時は高度成長期でまだ物が不足気味でオシャレなものをつくれば売れるという時代でした。名古屋に会社があり、他の会社と違うところは、当時からも現場に寄り添った物づくりを大切にし、ニットの産地である山形や新潟まで行き工場と共に歩んできました。工業まで行き、物づくりをするという伝統や考え方は、今でも引き継いでいます。


都会でただ企画し物づくりをすることではなく、現場に添って物づくりをすることを40年間大切にし、今も工場で働く方々と一緒に物づくりをしています。


時代の流れの中で、一時期は売り上げの約50%近くを海外で製造していた時代もありましたが、リーマンショックを機に、もう一度原点に戻ろうとメイド・イン・ジャパンに戻しました。ただ安く作ろうと思うと、工場や働いている方々全てが機械のようにとらえられてしまいがちですが、そこで働く方々に寄り添うことで、思いや熱意も伝わり出来上がる商品に差が出てきます。


原田)生産する方々に対し、お仕事を継続的に創出したいという思いは、現在、大醐さんで事業展開されているフェアトレード・エシカルファッションの生産地である途上国においても同じですね。


後藤)そうですね。一時期は海外でものづくりをしていた時は、いいものを安く作るという目的でしたが、今ではそうではなく、海外も同じで、現場に訪れ作り手と話をしながら物づくりをしています。


原田)その視点がアップサイクルの商品開発に繋がるということですね。アップサイクル商品『3×4=12』もまた斬新な名前の商品をクリエイトされましたが、工場と密接な関係があるからこそ着眼し生まれたのでしょうか。


後藤)『3×4=12』は『残糸(ザンシ)12』と読みます。ダジャレが効いたネーミングになっています。(笑)

『3×4=12』は、大醐のアップサイクル・ブランド「poco up poco(ポコ アップ ポコ)」の中の商品で、残った糸「残糸」を再利用しています。布製品を作る時には必ず糸が必要で、その糸は1㎏単位で購入します。100足の注文が入って、1㎏単位の糸で製造しますが、全てを使い切ることは難しく、多くの糸が余ることになります。どこの工場へ行っても残糸が山のように積まれています。それを見て、使わせてほしいなと。使えないかな。という思いから生まれたプロジェクトです。


原田)社長自らが工場に出向いているからこそわかる「もったいない」の思いから生まれた商品ですね。やはり、物づくりの過程では、どうしても残ってしまう糸があるということですね。


後藤)例えばこちらの無地の靴下。白に見えるのですが、実は1色ではなく2色の糸が使ってあります。様々な糸を組み合わせて使います。それぞれの糸は1㎏単位で購入されますが、それぞれ同じ量が利用されるわけにはいかないので、バラバラな量が残ります。特に差し色などに使われる糸は少量しか使用しないので残ってしまいます。


原田)デザイン優先で糸が調達されますので、糸を使い切る事までは考えられないですね。


後藤)糸が残っても量が少ないので、ばらつきがある糸を企画し直して使うということはとても労力がかかります。しかし、弊社では小売りの実店舗がありますので販売することができます。また、数に限りがあるけれど取り組みに共感していただけるお店と一緒に販売できればいいなと考えています。


原田)従来の製造と逆のスタートなんですね。従来は、作りたいデザインがあり製造に入りますが、『3×4=12』は、残ってしまった糸を組み合わせて何がどれくらいできるか・・・残糸次第ということですね。


後藤)『3×4=12』の意味は「3か月に1回、年に4回商品を作って、その月の12日を販売日とする」。年に4回の理由は、工場にも忙しい時期があるので残糸を使っての商品づくりは余裕のある時期に無理なく製造できるように工場に合わせた仕組みにしています。


原田)ということは、いつでも買えるわけではないということですね。


後藤)3か月に1回、毎月12日(1月12日、4月12日、7月12日、10月12日)の年に4回、自社の小売り店「ほほほ」で販売しています。


原田)こうして残糸での商品が出来上がったご感想は。


後藤)ネーミングについては社内で意見を出し合い決めていきました。残糸のアップサイクルについては以前から出ており、なかなか難しいのではないかと燻っていていましたが、営業社員と店舗スタッフが私の知らないところでスタートしていました。これはとても嬉しかったですね。社内の部署をまたいで一緒に企画をしていくことが広がっていくと良いなと思います。 


原田)この先の展開は。


後藤)靴下やネックウォーマーからスタートしましたが、他の工場にもまだまだたくさんの余った糸が残っていると思いますので、アイテムを増やしていこうかなと考えています。


原田)まさに大醐が長年培った強みですね。


後藤)工場と寄り添いながらモノづくりをしてお客様の為にいいものをつくっていくことを大切にしたいですね。


原田)残したいのは素材だけではなく、日本の伝統の道具など後藤社長がもったいないなと思って、「残したい」古いものを生かしている事例もありますね。


後藤)残したいなと思っている物は、工場に残っている機械ですね。現在の効率重視で作られた最新の機械ではなく、非効率ではあるかもしれないけれど古い機械でゆっくりと作る生地の柔らかさだったり、風合いだったりを守っていきたいですし、道具を使う際の工夫や知恵は一度失うとなかなか元に戻すことが難しいので継続できるように手助けしていきたいですね。


原田) 例えば、今では少なくなった襖(ふすま)にまつわる商品もありますよね。


後藤)襖を貼る際に薄い布を貼りますが、その布を専門で織る工場が日本では2社しかなくなりました。襖は減ってしまったけれど、その内の1社と弊社のシルク・ブランド「絹や」と協業し、その機械を使ってシルクのストールを作っています。


原田)襖を作っていた技術を活かして、ファッションアイテムを製造しているということですね。襖のサイズとストールのサイズと同じということですね。社長のアイディアですか?


後藤)そうですね。大醐ではシルクのブランド「絹や」を持っています。テカテカしたストールではなく、日常使いのシルクのストールを作りたいとずっと思っていましたので、襖屋さんと出会いでそれが実現しました。現場に行ってみたからこそ生まれた商品です。


原田)エシカルファッションの要素が大醐さんの中にギュッと詰まっていますね。素材を残さない、伝統の継承、地域の産業を盛り上げる、そして海外とのフェアトレードなど。これからは未利用素材などを使った海外とのコラボもあるかと思います。


実際にpoco up pocoのフィリピンのレジ袋を使用した商品もそうですね。フェアトレードとアップサイクル。

この先、大醐のアップサイクル・ブランド「poco up poco」では様々な商品が生まれそうですね。 さて次に計画されている新商品は?


後藤)残糸プロジェクトをきっかけに自社や取引工場で余る素材をアップサイクルしていこうと考えています。例えば夏に人気のステテコからは端切れ、シルクの残り生地など。その他には捨てられてしまう牛革の裏革を使った商品を展開していこうと考えています。革によって厚みや風合いが違うので、悩みながら商品化しています。


原田)希望に溢れた商品開発ですね。


後藤)ゴミだと思っていたものをまた活かされることがとても嬉しいですし、工場も同じ思いです。そしてお客様に伝えていきたいと思います。ゴミを出したくないなという思いは皆同じですね。これをお客様へ上手く伝えることができるかが課題です。


原田)ストーリーを付けていくのは大醐さんのお役目ですね。


後藤)頑張ります。


原田)『残ってしまった素材』ではなく『残したくない素材』ですね!

  ありがとうございました。




「アップサイクル」インタビュー完成のお披露目イベントに

「3×4=12(残糸12)/ほほほ」後藤さんもトーク!

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エシカル&サスティナブル・ファッションショー/ トーク@オンライン

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2022年 1月 22日(土)13:00〜16:30

オンライン配信(ファッションショー/トーク/ 中継)

参加:YouTube配信 https://youtu.be/Sj2a3_u_N4M


1/22イベント詳細はこちら!



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interviewer

原田さとみ

(エシカル・ペネロープ株式会社 代表 / 一般社団法人 日本フェアトレード・フォーラム代表理事 / NPO法人フェアトレード名古屋ネットワーク(FTNN)理事 / 一般社団法人 日本エシカル推進協議会理事 / JICA中部オフィシャルサポーター)

”思いやり”のエシカル理念・フェアトレード普及推進イベント、フェアトレード&エシカル・ファッションショーの企画運営。 フェアトレード商品やエシカル消費・エシカルライフの推進事業を行う。2015年名古屋市をフェアトレードタウン認定都市とする。


movie

松井陽介(pen&wine Paw代表)


writer

梅澤ルミ子 (結日代表 / NPO法人フェアトレード名古屋ネットワーク(FTNN)理事)

エステティシャンとしての経験を積み、2018年『結日』起業。生産環境、製造環境、使い終わったあとまでを考えた石鹸等の日常生活に馴染みやすい化粧品・洗剤等の商品展開をスタート。主にアジアを中心に生産者に寄り添った現地の素材を活かし原料化し、美容界にもサスティナブルな商品の導入を目指している。




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