フェアトレード認証コットンでSDGs!
豊田通商株式会社 https://www.toyota-tsusho.com
COTTON∞(コットンエイト)https://cottoneight.com
名古屋市役所にフェアトレード認証コットンのユニフォームを導入
2019年6月、豊田通商株式会社がグループで手がけるフェアトレード認証コットンを使用したユニフォームが名古屋市環境局に納入されました。ごみ収集職員の帽子や作業服として採用。フェアトレード被服の公共調達としては、政令指定都市で日本初となりました。この事業を通じて、フェアトレード認証製品への社会の認知度を向上させ、開発途上国の原料を適正な価格で継続的に購入し、生産者の生活改善を目指しています。
名古屋市は、フェアトレードを街ぐるみで推進するフェアトレードタウンに2015年に認定されており、市民と行政や学校、そして企業とも一緒にフェアトレードタウン運動を展開しています。市のユニフォーム導入は名古屋での運動をも大きく盛り上げ、日本各地のフェアトレードタウンにもインパクトを与えました。
SDGsの達成に寄与する取り組みとしても注目
海外のフェアトレードタウンでは、パリ市清掃員の作業服や、フランス郵政公社、ロンドン交通局、パリ空港の制服などにフェアトレード認証コットンが採用されている例があります。日本でも今後、行政・団体の制服や、学生服や体操着、企業の作業着、被服類に、フェアトレード認証コットンの使用が求められる時代が来るでしょう。
名古屋市環境局の制服は、国際フェアトレード認証コットンのユニフォーム採用事例としては、国内初となりました。今後は一般企業向けユニフォームの供給に取り組むなど、豊田通商のフェアトレードコットン事業は大きな希望となります。企業だからこそできる未来を創る事業です。
国連が定めたSDGsの達成に寄与する取り組みとしても注目です。企業へのフェアトレード認証コットン制服導入は、SDGsに関心が高い企業からの需要に応えるものとなるでしょう。
原料から糸、生地、製品まで一貫してフェアトレード認証取得
フェアトレードコットン事業は、豊田通商がグループ全体で、原料から糸、生地、製品(デザイン企画)まで一貫して提案できることから、2018年、綿花調達の「東洋棉花」と、紡績・生地生産の「信友」と、 企画・販売の「豊通ファッションエクスプレス」 の3社が主軸となりスタートしました。異なる現場で働く社員の強い結束によって、生産から消費まで一貫したフェアトレードの仕組みを構築し、世の中へと還元していくフェアトレードの挑戦が始まりました。グループ全体で、フェアトレード認証コットンの取り扱いに向けて認証取得を進め、国際フェアトレードラベル機構が定める認証を、生産・紡糸・織布・染色・製品製造・販売の全工程で取得し、第一にフェアトレード認証ユニフォームの供給体制を整えました。
フェアトレード最低価格とプレミアム(奨励金)を生産者に保証
フェアトレードは「開発途上国の生産者が自らの力で暮らしを向上できるように支える仕組み」です。
国際フェアトレード認証ラベルを付けて製品を販売するには、コットン農園から販売元までサプライチェーン全てが認証を取って、本物のフェアトレードであることを証明しなくてはならなく、その基準を満たし継続するには細やかな配慮が必要となります。
国際フェアトレード基準は、開発途上国の小規模生産者・労働者の持続可能な開発を促進することを目指して設計されており、生産コストをまかない、かつ経済的・社会的・環境的に持続可能な生産と生活を支える「フェアトレード最低価格」と生産地域の社会発展のための資金「フェアトレード・プレミアム(奨励金)」を生産者に保証すると定められています。生産地や製造過程の全ての人権や環境に配慮することは当然のことですが、企業がサプライチェーン全てに認証を取得し、それを継続することは大変な覚悟であったと思います。豊田通商繊維部門のグループ関連会社で、国際フェアトレード認証を取得し、さらに製品を多方面へ広げる準備をされています。
コットン生産地の西アフリカのセネガルとインドの農園では、コットンは手積み作業で、運搬や梱包までほとんどの工程を人力で行うことで雇用を創出しています。プレミアム(奨励金)は子ども達の学校建設や地域のインフラ整備などに大切に使われています。
課題から、新ブランドの設立へ
しかし、フェアトレード認証を取得したからと、すぐにはフェアトレードコットンの需要は伸びていません。認知度の低さと、価格が高いという課題。加えて市役所のような行政機関への制服導入など、公的機関の調達となると、競争入札という壁にぶつかり、公正な対価で取引しているフェアトレード商品は、低価格競争には勝てません。正しい方法で生産し、途上国の生産者の暮らしを守る認証がついて、生産背景を証明しているのですが、それよりも価格の安さが優先される入札の仕組みに悩まされています。本来、公的機関で調達し消費するものは、未来を良くする商品であり、社会の課題解決につながる倫理的な商品であるべきです。安さだけでなく、商品の背景や購入後の社会への影響を考えてフェアトレード認証商品を選んでほしいと私たちは願います。実際には、エシカル消費を推進する自治体が増えています。公共調達の条件に「フェアトレード」が加わり、フェアトレード認証商品が優先的に採用されるようになるため、市民と行政と企業が連携し、要望を表明し、未来を変えるフェアトレードタウン運動があります。しかしその実現にはまだ少し時間がかかりますので、まず”できることから少しずつ”という精神で始めようと、新プロジェクトが誕生しました。
できることから少しずつ、サスティナブルな「COTTON∞(コットンエイト)」
フェアトレード認証コットンを流通させるために、手に届きやすくし、買ってもらうにはどうしたら良いのかを練り、設立したのが、フェアトレード認証コットンを8%混率にしたオリジナル商標ブラント「COTTON∞(コットンエイト)」。フェアトレード市場がまだ十分に開拓されていない環境下での第1歩として、使用する糸にフェアトレード・コットンを8%以上混入することで、生産地で働く人々の暮らしや、仕事環境が向上し、世界が、そして未来が少しずつ良くなるように「できることから、少しずつ」8%から無限の可能性を拡げる挑戦です。「8%の糸」からでもいいからフェアトレード・コットンの使用量を少しずつ増やし、日常に取り入れやすい形を提案し、社会に溶け込む仕組みを展開。「できることから、少しずつ」との思いで、コットンエイトは、綿花生産から消費まで、全てのプロセスを巻き込んでフェアトレードを促進する、豊田通商繊維部門グループの総合力を活かしたチャレンジです。
「目に見える形での生産者への利益還元と、流通の透明性で、しあわせが無限に広がる社会を作りたい。そんな社員の皆さんの熱い想いから、コットンエイトは生まれました。大量生産される多くの製品が、低賃金労働を生む一方、コットンエイトを使用した商品の購入により、遠い国の生産者をも笑顔にできます。」と豊田通商は、グローバルカンパニーとして、人・社会・地球との共存を図り、豊かな社会づくりに貢献しています。
お話をお聞かせくださいました
鬼形 智英さん(豊田通商株式会社)
吉川 響さん (豊田通商株式会社)
ありがとうございました。これからも応援させていただきます。
<取材先>
豊田通商株式会社 https://www.toyota-tsusho.com
COTTON∞(コットンエイト)https://cottoneight.com
取材記事:加古麻理江(FTNN)
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