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KURATA PEPPER クラタペッパー

カンボジアから届く、世界一美味しい胡椒



3本の原木から始まった完熟胡椒のクラタペッパー


中世から1960年代まで、「世界一美味しい」といわれていたカンボジアの胡椒。1970年代の内戦の影響により、生産がほとんど行われなくなりました。その世界一美味しい胡椒の復活には、辛うじて残った3本の原木から始まります。カンボジアの首都プノンペンより西部、タイランド湾に面したコッコン州に、その原木から家庭菜園ほどの胡椒畑を作っている農家の人がいました。代表 倉田浩伸さんは、その農家の胡椒畑を基に地元の人々と共に農園を拡張、今では6ヘクタールの耕地で胡椒を栽培し、プノンペンの本社で、加工・卸販売・輸出を、2つの店舗で販売を行っています。その味は地元の方にも、旅行者のカンボジア土産としても大人気です。こうした倉田さんの功績もあり、カンボジア産胡椒の生産量は世界第13位(2018年)まで増え、世界一美味しい胡椒は再び世界に広がりつつあります。

胡椒は、果実のように房に実をつけます。その房の中から1~2粒ほどが赤く熟したら、収穫の合図。緑色の状態で摘み取ります。ですが、クラタペッパーでは最初に真っ赤に熟した実だけを1粒ずつ手摘みし、それを「完熟胡椒」と名付け商品化しています。完熟した実はさらにフルーティで、レーズンのような甘みをおびた芳香な辛みとなり、料理を引き立てるその魅惑のスパイスに、みんな虜になってしまいます。



「世界一美味しい胡椒」をもう一度復活させた思い


倉田さんは、15歳のときに観たカンボジアの映画がきっかけで、大学4年の夏、日本のNGOボランティアとしてカンボジアで活動を始め、24歳でクラタペッパーの前身となる会社をカンボジアで設立。その頃、カンボジアでは約20年間続いた内戦が終わり、新たな国が立ち上がろうとしていました。支援ではなく自立することが必要、それにはまずこの国は農業を立て直さなければと思い、起業。カンボジア=貧困というイメージが強かった当時は、胡椒の価値を海外の人に理解してもらうことは難しいことでした。ですが倉田さんは、貧困だからこそ支援ではなくカンボジアの人々が自立する道として、「世界一美味しい胡椒を作って、この国の産業にしたい。長く続いた内戦があったが、カンボジアにはこんなにも素晴らしいものがあり、それを誇りに思ってほしい」その強い思いから、世界一美味しいと言われていたカンボジアの胡椒を復活させることができ、今につながっています。



伝統農法で育てるオーガニック胡椒


カンボジアでは700年以上続く伝統農法があります。農薬や化学肥料を使わず、土壌の質、牛から得られる堆肥で行われる農法です。倉田さんは「安全で高品質な胡椒を生産する」という思いから、伝統農法で生産しています。クラタペッパー は、2011年にカンボジアでは初のヨーロッパ同規格のカンボジア・オーガニック協会から認証をされました。今では倉田さん自身がカンボジア・オーガニック協会の会長を務め、カンボジア国内外にオーガニック農法の普及活動を行っています。



緑の生胡椒を日本へ届けたい


クラタペッパーの胡椒は、栽培から加工、そして販売まで一貫して行われています。フルーティな黒胡椒、個性的な白胡椒、希少価値の高い完熟胡椒、そして「生の緑胡椒」もあります。胡椒の生の実はプチプチとした食感と爽やかな辛さが特徴で、カンボジア国内主に南部ではイカと一緒に炒めるなど親しまれています。ですが、生の緑胡椒はとても痛みやすく、2~3日で鮮やかな緑色が黒くなってしまうため、胡椒産地周辺のみで消費されていました。倉田さんが初めて生胡椒の料理を食べた際に、味のおいしさ、房ごと食べる贅沢な食べ方に感動し、「日本にも届けたい」と思い、どのようにして届けるのか、試行錯誤が始まります。カンボジアでも一部の地域でしか食べられないフレッシュな生胡椒を海を越えた日本の各家庭においしい状態で届けるのは至難の業。そこで生胡椒を使用した加工食品を開発することになりました。生胡椒が収穫出来る時期は、黒胡椒の収穫期8~9月の年1回のみ。そのため、試作品ができる時期も限られていました。生胡椒をおいしく日本へ届けるため、試作にはパートナーの由紀さんのアイデアや視点が活かされます。オリーブオイル漬けなどあらゆる調味料を試し、日本の有機醤油と三河みりんだけで漬けた「生胡椒のしょうゆ漬」が完成。ごはんにあう薬味として、1粒から美味しい商品になりました。


さらに2018年には、倉田さんの念願であった生の緑胡椒が日本に届けられるようになりました。日本とカンボジアをつなぐ国際線が就航し、朝にカンボジアで収穫した生胡椒を検品後、その日のうちに出荷、翌朝には日本に届きます。生胡椒商品は、オンライン限定で販売されています。



夫婦二人三脚での歩み


緑の生胡椒のイラストでお馴染みのクラタペッパーのロゴマークは、パートナーの由紀さんがデザインし、手描きしたもの。フレッシュな生胡椒の緑色がクラタペッパー・カラーとなっています。 初めて胡椒畑に訪れたときの由紀さんの感動が、イラストに表れています。パッケージやパンフレットやDMなどのデザインも由紀さんが手がけます。

由紀さんと倉田さんの出会いは、世界の子どもたちの絵を日本に届けるボランティア活動で由紀さんがカンボジアへ訪れたことがきっかけとなり、その後結婚。カンボジアで暮らし、子育てをするなかで「おいしい胡椒を広げたい、そのためには何かできることはないか」と由紀さんならではのさまざまな企画が生まれていきます。プノンペンのお店では、NGOが育てたオーガニック野菜を売るマルシェを企画。他にも、カンボジアに初めて訪れた際にプラスチックごみの量があまりに多いことに衝撃を受けたことから、クラタペッパーでは紙袋を使用。プラスチック容器は詰め替えサービスを行なっています。


そして、お子さんが小学校に入学するとともに、日本へ帰国し、日本支店を立ち上げます。帰国後は、こだわりのお店へのPR活動やコラボ商品の開発など、「カンボジアの畑と日本のキッチンをつなぎたい」という思いから、カンボジアのおいしい胡椒を広げてきました。2017年に株式会社クラタペッパーを設立。多くのメディアにも取り上げられるなど、日本国内にも世界にもファンを増やしています。

クラタペッパーは、浩伸さんと由紀さんの二人三脚で歩んできました。農園を開拓し胡椒にひたむきに向き合い、品質を向上。販路を広げることで、カンボジアに雇用を生み出し、従業員の生活が向上することで、誇りをもたらしました。カンボジアでの胡椒栽培をする農家さんに、夢と希望を生み出しました。今では、胡椒栽培の技術を地域の農家さん達に教えて、カンボジアの人たちと一緒に胡椒産業を盛り上げたいと願っています。



お話をお聞かせくださいました

 倉田 浩伸さん(KURATA PEPPER Co.Ltd.社主)

 倉田由紀さん(株式会社クラタペッパー 代表取締役)

ありがとうございました。これからも応援させていただきます。


 

<製造・販売元>

KURATA PEPPER Co.Ltd.

株式会社クラタペッパー

Tel 0587-81-3207


KURATA PEPPER Co., Ltd. カンボジア本店

#35B St.606, Boueng Kak II, Toul Kok, Phnom Penh CAMBODIA 12152


<書籍>

著 倉田浩伸(小学館)

 

取材記事:加古麻理江(FTNN)

動画制作:松井陽介(FTNN)

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