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インドの人々がつむぐ、美しい手仕事の服



作り手の顔が見える丁寧なモノづくり


インド職人の手仕事で紡ぎ織られた天然繊維の布地を植物由来の染料で染色した美しい布を、インドのテーラーにより仕立て上げている洋服ブランドnimai-nitaiは、「ひとりの人と出会うように、ひとつのモノに出会う」をスローガンに、作り手の顔が見える丁寧なモノづくりで、買い手に喜んでいただける質の高いファッションを目指しています。1つ1つ手仕事で作られる美しいインド伝統の布と、その布で仕立てられるモダンな洋服は、素材の質やデザインが愛され、着心地に満足をしていただくことで、商品の販路が広がり、生産地に雇用を増やしています。特にインドの女性たちに仕事の機会を生み出しています。


インド各地で継承されている伝統を生かしたい


手つむぎ・手織り・手染め・手刺繍、糸から染織・縫製まで、インドの女性たちと職人たちの手仕事で行われています。生地は、インドのコットン・リネン・シルクを使用。オーガニックコットンは、タミルナードゥ州で生産されたコットンを西ベンガル地域の職人が織り出し、リネンやシルクは、ビハール州バガルプール地方で伝統的な製法で紡ぎ出されています。染料にはターメリックやインド藍など、植物由来の素材を使用し、インド伝統の木版で1つ1つ手押しするブロックプリントで柄を染色するなどしています。

「インド最貧困といわれるビハール州ブッダガヤの雇用作りを原点に、その地に暮らす村人や仕事を営む職人ひとりひとりと向き合い、働く環境や賃金においても双方が納得した上でモノづくりを極めていけること」を大事にされています。


インド最貧困州のひとつであるビハール州との出会い


「経済的・社会的な理由で自分ではどうすることもできない困難な状態の人々のためになる仕事がしたい」と代表の廣中桃子さん。”最も貧しい人のために一生を捧げた”マザー・テレサに思いを馳せ、2007年、大学生最後の冬休みにインドの最貧困州の一つビハール州のブッダガヤへ行き、「裁縫を習いたい」という女性たちに出会います。村の人々の大半は、自給用の作物を栽培し、残りを市場で販売し、わずかな収入を得ている人や、日雇い労働者です。2年後の2009年には合同会社NIMAI-NITAIを設立。

村の女性たちの「裁縫を習いたい」という声をきっかけに起業した2012年より、仏教では馴染みの深いスジャータ村と、アウトカースト(カースト制度の外側)の人々が多く暮らすハティヤール村の女性を対象に、裁縫の指導・制作を始めました。その後インドでの洋服作りも軌道に乗り、2016年にはインドと日本の2拠点を開設。インドでは首都デリーで服仕立て職人の夫妻と共に縫製工房を設立。日本では、滋賀・近江八幡の古民家を利用して事務所を設立。2021年にはここで店舗開業の予定です。



お客様と共に成長した、洗練されたデザイン


nimai-nitaiのデザインは、幅広い年代に愛されるように日々改善が繰り返されています。2012年の創業当初は、伝統染織や刺繍など布が好きな方々に選ばれていましたが、同時にファッションとしてのデザインにも力を注ぎ、コレクション毎にデザインも縫製も着実に洗練され、その素材の美しさとデザインの魅力から、女性ファンを増やしてきました。廣中さんは、自らも洋裁やデザインを学び直しました。インドの長い歴史の中で継承されてきた高品質で魅力的な伝統の生地を、デザインの力で日本の女性たちにファッションとして届けられるよう、新作のラインナップが練り上げられます。各地のデパートやギャラリーショップでの催事出店販売で、お客様の声を直接聞き、愛用される方々の要望を積極的に取り入れ、商品の改善を繰り返してきました。フェアトレードタウン運動が活発な名古屋では、フェアトレードの理念が浸透していることから、商品の公正な生産背景を意識して商品を選ぶお客様が多く、nimai-nitaiの理念に惚れ込み応援するファンが育っています。


手つむぎ・手織り「カディプロジェクト」


nimai-nitaiは今、新しいプロジェクトを手がけています。新たな雇用を生み出す「カディプロジェクト」を2015年に開始。カディとは、イギリスの機械織り布に対抗し、インド独立の父マハトマ・ガンディーが普及させた手紡ぎ手織りのこと。糸を手で紡ぐことは、平和を紡ぐこと、そのものです。このプロジェクトは、ブッダガヤのハティヤール村の人々と共に進めています。現金収入を得ることが難しい女性たちが、糸を紡ぎ、その糸で布を織り、染色をし、nimai-nitaiの服となるプロジェクト。カディ生地は、コットンでもシルクでもウールでも繊細な極細糸で織り上げる、ふんわり優しく温もりある肌ざわりの素晴らしい素材です。

2018年からは滋賀県立大学建築学科の准教授と院生たちの協力を得て、カディのアトリエも村の男性たちで作ることになりました。それにより男性たちにも仕事が生まれ、カディプロジェクトに従事する女性の仕事への理解も深まります。アトリエ建築にはこの地域の伝統建築を活かして土を使用します。コンクリートなどより自然の土の壁は通気性が良いので涼しく、インドの気候に適した優れた素材。しかし村人からは土の壁に対して反対が多く難航。大学側は調査・研究・デザイン案の変更を重ね、天災にも耐える強度の設計を完成させ納得してもらいました。さらに村長への説得にも2年がかかりましたが、アトリエの土地の無償提供が決定し、大学院生と村の男性たちとのアトリエ建設が始まりました。村への思いから始まったカディプロジェクトは、村に仕事を作り、持続可能な村の未来を創る、自立の道へのスタートです。

✳︎カディプロジェクトの活動報告はこちらで更新しています。

1本の糸から、1枚の洋服へ


「目先の利益に捕らわれず、人とつながりを大切にし、小さい会社だからこそできることを」と廣中さん。様々な困難を乗り越えられた、そのモチベーションは「人生を模索していたときに、インド・ブッタガヤを訪れて自分の生きがいをみつけられた。だから、そのインドに恩返しをしたい。貧しい地域では仕事がないことで本来の輝きが出せていない人がいる。仕事があることによって輝きを取り戻した姿を見てきた。少しずつだけど、輝きを取り戻せる人を増やしていきたい」と、1本の糸から、人の心と手で、つむぎつなぎます。モノづくりを通して、つくる人とそれを使う人の想いをつなげ、 ひとりひとり、ひとつひとつが大切にされる思いやりのある社会づくりをnimai-nitaiは、目指しています。


お話をお聞かせくださいました、

 廣中桃子さん(合同会社NIMAI-NITAI 代表取締役)

ありがとうございました。これからも応援させていただきます。


 

<製造・販売元>

nimai-nitai (ニマイ・ニタイ)

オンラインショップ https://nimai-nitai.shop-pro.jp

 

取材記事:加古麻理江(FTNN)

動画制作:松井陽介(FTNN)

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