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「MODECO」水野浩行さん

アップサイクルといったら、MODECO(モデコ)ですね!どこよりも早く、取り組んでいます!名古屋が誇るエシカルブランドです!未使用のシートベルトや使い古した消防服、工場で残った床材やカーテン生地など、使用されずに廃棄される素材を企業から集めて、素敵なバッグなどに生まれ変わらせ、価値を高めたストーリーのある商品開発をされています。カバン作りを学び、繰り返し、経験を積み、今では、時代に必要とされる若き逞しき人材へと成長されていらっしゃいます。

                       

Guest

水野浩行さん(MODECO代表)

2010年よりエコロジーをコンセプトとしたブランド「MODECO」を設立。産業廃棄物の削減と有効活用をテーマとした 「アップサイクルデザイン」の第一人者として国内外から多数の注目を集める。取り分け自治体と連携した消防服の廃棄ユニフォームを 再利用したFiremanなど一連のデザイン・社会問題は ガイアの夜明けなどTVを始め100を超える多数のメディアから多くの取材実績を持ち、2015年に株式会社アミューズの資本・業務提携を結びブランドビジネスの新しい在り方を示した。またヒューレット・パッカード、PATAGONIA、フォルクスワーゲンなど 欧州欧米のナショナルブランドとのコラボレーションも数多く手掛け未来の為に描くそのデザインは国境を越え高い評価を受ける。その他途上国への人道支援活動や高校、大学の講師業など 様々な社会活動を行っている。2017年度 LEXUS NEW TAKUMI PROJECT愛知県代表として2018年度 LEXUS COLLECTION デザイナー就任。2018年より、MODECOのモノづくりのみならず、サスティナブル社会における企業づくりの為、HIROYUKI MIZUNO DESIGNを設立。上場企業から中小企業まで、未来的な企業、事業の設計に向けた顧問、コンサルティング事業を開始。また現在は「100年後の未来を創る」ことを掲げ、あらゆる社会起業家と企業と連携し、社会をサスティナブルにアップデートすることを目的とした新しいブランド共栄圏の「AFTER 100 YEARs(100s)」を発足。


interview ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  聞き手:原田さとみ 2021年 9月


原田)最初に会ってから何年になりますかね?


水野)もう、12年くらいですかね。


原田)その時は20代でリサイクルの事業をやっている若者がいるぞ!って話題でしたよね!


水野)男性で少なかったですからね。ソーシャルやフェアトレードに関わっているのは女性が多かったですね。当時、名古屋のエシカル委員会で男性は僕だけでしたからね。


原田)「エシカルなごや推進委員会」懐かしい!そうでしたね。2010年から名古屋ではエシカル委員会を作って「エシカルで行きましょ!」というイベントを一緒にやってきましたよね。その時、水野さんは大須を本店に店舗を増やし、催事にも出店していましたね。


水野)そうです。2017年で6店舗あったのですが、いったん実店舗をやめようと決めました。理由はいくつかあるのですがアップサイクルはゴミの削減と有用性、地球環境にマイナスになるものをもう一度再利用だけではなくプラスの価値を出していくことを目的でスタートしましたが、店舗型のビジネスモデルは売れなければ在庫になり廃棄物になる可能性があると思い、店舗を増やしていくビジネスモデルをやめようと思いました。


原田)実店舗を全て閉めたのはいつですかね


水野)5年前(2016年)ですね


原田)「アップサイクル」という言葉より、当時は「リサイクル」と言っていた2009年頃から、MODECOのアップサイクル事業は始まっていますね。


水野)「アップサイクル」という言葉ではなかったですね。アップサイクルという言葉を社会に初めて投下したのは僕らだと思います。それをマスメディアが面白がって取材に来ていただいて、気が付いたら産業廃棄物を使ってモノを作り再生していくこと「アップサイクル」と皆さんが使い始めましたね。当時は誰も使っていなかったですね。


原田)取材も出店依頼も多かったですよね。私のエシカル・ファッションショーでもMODECOのバッグを使わせていただきましたね。常に注目もされていましたが、あの時あのままでいいと思わずに業態を変化させましたね。


水野)僕としては判断を間違っていないと思っていて、店舗を通じて発信していくだけでは違うかなと。今はデジタルもありますし。

今後このような事業をやっていく時に気を付けないといけないのは「アップサイクルまではできたけどストックが売れ残ってしまいそれを廃棄してしまうとゴミのまま処理してしまった方が環境負荷低かったよね」となる可能性があると思います。

結局、何らかで電力を使い、移動してもエネルギーを使います。その辺りを突き詰めていくと今のところ受注販売しか成立しないと思います。


原田)「ゴミ(廃棄される素材)」に目を付けたのはきっかけがあったのですか?


水野)環境問題に興味が人並み以上にあり、その中でたまたまその中の一つとしてサプライチェーンから漏れた産業廃棄物が存在していることを知り、何故これを捨ててしまっているのだろう、という気持ちからですね。


原田)23歳の若さでそこに気付いて事業化したということですね。

もう一つ気になるのはカバン屋さんでない水野さんが、どうやってカバン作りができるようになったのですか?


水野)当時僕はサラリーマンをしていて、早く仕事を終らせて、縫製工場を見つけるのにタウンページ300件くらい電話をかけていました。その中でお話を聞いてくれる縫製工場さんを見つけましたが縫ったことがない素材もあり、機械が壊れるかもしれないリスクがあり、縫うことを嫌がられていましたね。その中でも名古屋市西区の縫製工場では2年間くらい通わせてもらいましたね。


だけど当時それ以外にも廃棄野菜からジュースを作ったり、ウレタン材の廃材を粉砕してクッションを作ったりヒノキの間伐材からお椀や湯呑、食器類などのライフスタイルベースのアイテムを展開していました。生活すべての製品が全て産業廃棄物から生まれてくるということがMODECOのスタートでした。


しかし、開発原資もすぐなくなってしまって、何かに集中しようと思ったときに最も廃材の価値が生きるマーケットは何かということを考えました。考えた末にはかばんの事業領域が一番いいと思い、そこから加速して百貨店へ行ったり催事販売をしたりしました。


原田)で、気がつけば、MODECOはバッグ専門ブランドに育ったと言うことですね。


水野)そうですね。バッグのブランドですね。

産業廃棄物をどう生かしたら社会に戻っていくのかだけを考えて結果、MODECOはバッグを作ったということになります。



原田)社会の課題解決の為、何かできないかという思いから起業をするも、技術が追い付かず未完成で終わることもありますが、水野さんは、カバン作りの技術も経験もないところからスタートし、課題を解決したいと言う強い思いで学び経験を積み、技術を自分のものにし、今ではカバン作りのプロとなっている。素晴らしい進展ですね。

さらには、企業が、自社で出る廃棄素材に気がつき、それを生かしてアップサイクル製品を生み出したいという時代に入ったのではないでしょうか。


水野)いい時代になったと思います。当時はとにかく廃棄されているものを隠す時代だったのがどんどんopenになり、そこから何をしていくかを考えだす意識に変わってきたのはすごく大きな変化ですね。


原田)水野さんの始めたころは、事業者に「床材や消防服を使ってもいいですか?」とお願いするところからのスタートでしたよね。


水野)そうですね。


原田)「廃棄素材は使ってくれてもいいけれど、出所は内緒にね。」という時代を乗り越えましたね。


水野)時代は大きく変わったと思いますね。最終的に目指したかったのは社会が進化することでしたので一先ずこれはこれで良かったと思います。マイノリティではなく社会全体が考えるようになった事が何よりうれしい。トレンドとしてではなくこれをどう生かしたら、より有効的な利用になるかということは真面目に向き合ってほしいなと思います。


原田)そのために水野さんは実店舗を持つのではなく、アップサイクルのノウハウを生かして、企業のプロデュースを行うという方法に変化したのですね。今、最も社会に必要とされていることなのではないでしょうか。


水野)そうですね。

個人のブランドデザイン事務所を立ち上げまして、多くのパートナーと事業開発からリブランディングまで、サスティナブル推進しています。名古屋ではリユースのコメ兵さんですね。今まではいいものを安く買う場所だった所から、消費習慣を考えていくうえでリユースが本当にそれのみなのかということを考えていくと、リユースも再定義されている時代です。それに合わせて今は顧問として経営企画に携わっています。他に大型商業施設の名古屋市西区のmozoワンダーシティのクリエイティブディレクターをしています。


これからの社会にとって、ただの商業施設ではなく、ただショッピングを楽しむ場所ではなく、街にどのように環境的な貢献ができるか循環型社会の機能になれるかを考えています。今やっていることはモゾアクションという未来に取り残せておけない問題を毎月商品で可視化しフェアトレードやアップサイクルをお客様に体験してもらうことです。


原田)いい展開ですね。12年前、23歳の若者が「社会を変えたい」と立ち上がり、6店舗も展開したけれど、時代を敏感にキャッチして自分にできることを動いて考えた。今では企業の中に入って、ディレクターや、顧問という立場で、これまでの経験を活かして社会を変えていく。


水野)そうですね。今は色んな企業のサスティナビリティを取り入れたリブランディング、新規事業の開発、そして次のことも目指しています。


原田)すごいですね。

当時私がテレビ塔でエシカル&フェアトレードのお店「エシカル・ペネロープ」を経営していたとき、水野さんが企画書をもってきて、エシカルの企画を提案してくれましたよね。あの頃から、勢いだけでなく計画性もありました。


水野)僕はいまだにエシカル・ペネロープの店名は秀逸だなと思っています。

次のライフスタイル、生活様式を発信していくそれを皆が習って始めていく。そんな夢も描けたら面白かったなと思います。


原田)それぞれにできる場所でそれぞれの「エシカル」を唱えてきた結果、今の社会に「エシカル」が浸透してきたと思います。12年前この状況を誰が想像したでしょうか。時代に必要とされる言葉は、ちゃんと理念として残るんだなと思いましいた。

このあとは、若い方々にお任せします!今、10代の方々の「フェアトレード」の知名度は8割近くになっています。「エシカル消費」や「SDGs」も同じく、学校で学んでいますので、若い方々はそれらを身につけて社会に出てきます。学校でそのような教育を受けていない大人たちの方が「フェアトレード」「エシカル」「SDGs」などの言葉の意味を知らない率が高いです。こうして次世代の若い方々がアップサイクルやフェアトレードの商品にアクセスできるような社会を作るために、私たちも頑張ります。

水野さんのような次世代に期待大です。そんな若い世代とともに次の社会を担う人材です。応援してます!


水野)同じ時代に生まれている私たちが今の時代にすべきことはサスティナビリティ社会をどう作っていくか、エシカル消費をどう推進していくかという面白い時代だと思っています。みんなで新しい時代を作っていき健康的な社会を次の世代に残していこうということだと思います。


原田)MODECOの展望をお聞かせください。


水野)MODECOはのんびりとやっていきたいですね。在庫廃棄リスクの観点から、ほしい時にいつでも提供できる状態ではなく、完全に受注でやっていきます。ただ、僕が目指しているのは時代を超えても輝き続ける価値を一つの廃材でもいいから残していきたい。廃材から尊い価値のデザインの文化を次の世代に繋げていきたいですね。

100年続けることが目標です。


一方で日本の職人問題ですね。日本の職人は高齢化していて、もうあと10年で作る人がいなくなってしまうのではないかという問題もありつつ、片方で工業的なモノづくりをしてきているのでクラフトマンシップ性や文化的なところで付加価値が余ってくると思います。うちの職人でも30年やっている職人がいますが加工賃の賃金がずっと同じなんです。中国の加工賃として使えるように価値を上げるのではなくコストダウンを求められています。

例えば30年の寿司職人が握った寿司と機械が作る寿司では価格に差がついて当たり前ですが、メイドインジャパンの生産性は上がっていません。一つの理由としてそれだけの価値があることを伝えきれていないと思います。

MODECOはデザインを通しながらも、クラフトマンシップ性の価値があり、クオリティの高いものを作れるのは日本人の手仕事じゃないとできないという証明する場所でありたいと思います。

職人にとって将来「MODECOの職人になることがプライド」となるということが幸せです。そんなところを目指していきたいですね。



原田)かっこいいですね。まさにエシカル消費の推進がいかに大事であるかが、MODECOの仕事からわかりますね。買う人が作る人(生産者)を助け育てることにつながる、エシカルな(倫理的な)お買い物になりますよね。いい商品は、いい消費者を育てることにもなりますね。



水野)例えばドイツでは自分たちのキャパシティ以上の仕事を安くしてくれという仕事はオーバーワークなのでできないです。と言います。今までは消費者市場主義で今までは消費者がいかに買いやすいか価格競争を繰り返してきた時代から一つ一つのモノの価値をエシカル消費を通じて新しい消費スタイルを流していくべきだと思うし、作り手も発信していかなければならないしこの両立が大切だと思います。



原田)こちらはおいくらですか。


水野)3万円です。


原田)生産地の方が生産する方を活かすのに本当はおいくらにしたいですか。


水野)それはもうこのバッグ自体にどれだけのステイタスがつくかのお話だと思います。

仮に10万円で売っていれば3万円で売っていたものが3倍の価格になりたくさん作らなくても3個分の価値になるので職人の世界でも経済が潤うようになりますね。

僕がいくらにしたいかというよりかは、この存在が最終的にどれだけのステイタスになっていくかということなので、職人さんたちがご飯を食べていけるだけの工賃にしたいですね。


原)商品の付加価値を上げていくのも水野さんの仕事ですね。

「のんびりやっていく」とはおっしゃいますが、MODECOスタイルで

これから先、一番脂がのってくるときですね。水野さんに期待しています!!

ありがとうございました。



「アップサイクル」インタビュー完成のお披露目イベントに

「MODECO」水野さんもトークされます!

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エシカル&サスティナブル・ファッションショー/ トーク@オンライン

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2022年 1月 22日(土)13:00~16:30(オンライン配信)

オンライン(ファッションショー/トーク/ 中継)

参加:YouTube配信 https://youtu.be/Sj2a3_u_N4M


1/22イベント詳細はこちら!


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interviewer

原田さとみ

(エシカル・ペネロープ株式会社 代表 / 一般社団法人 日本フェアトレード・フォーラム代表理事 / NPO法人フェアトレード名古屋ネットワーク(FTNN)理事 / 一般社団法人 日本エシカル推進協議会理事 / JICA中部オフィシャルサポーター)

”思いやり”のエシカル理念・フェアトレード普及推進イベント、フェアトレード&エシカル・ファッションショーの企画運営。 フェアトレード商品やエシカル消費・エシカルライフの推進事業を行う。2015年名古屋市をフェアトレードタウン認定都市とする。


movie

松井陽介(pen&wine Paw代表)


writer

梅澤ルミ子 (結日代表 / NPO法人フェアトレード名古屋ネットワーク(FTNN)理事)

エステティシャンとしての経験を積み、2018年『結日』起業。生産環境、製造環境、使い終わったあとまでを考えた石鹸等の日常生活に馴染みやすい化粧品・洗剤等の商品展開をスタート。主にアジアを中心に生産者に寄り添った現地の素材を活かし原料化し、美容界にもサスティナブルな商品の導入を目指している。


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